グリーフケアについて

死別の悲しみに暮れる人を
支援するグリーフケア

大切な誰かを亡くしたときでも、明るく気丈に振る舞うべきだと考えていませんか。立派な振る舞いといえるかもしれませんが、それができなくても自分や誰かを咎める必要はありません。すぐに立ち直ること、自己流で解決することがすべてではないからです。
「グリーフケア」という言葉を知っていますか?グリーフケアとは、グリーフ(悲嘆)についての知識をつけることで、死別の悲しみを癒やし、正常なグリーフワークを歩めるようサポートすることです。ここでは、グリーフケアとはどのようなものなのかを詳しくご説明します。

死別により引き起こされる心身ともに不安定な状態をグリーフ(Grief)【悲嘆】といいますグリーフケア(Grief Care)は、このような状態にある人に寄り添い、日常生活へ適応できるように支援することです。日本でグリーフならびにグリーフケアが注目を集めだしたのは1970年代です。
注目を集めた主な理由は、医療の進歩で看取りを経験する機会が減ったため、身近な人の死をどのように乗り越えればよいかわからない人が増えたからと考えられています。また、2005年に起きた福知山脱線事故もグリーフケアが注目されるきっかけになりました。

グリーフケアの手法はさまざまです。具体的には、専門家によるカウンセリング、同じ経験をした人同士が対等な立場で話し合うピアカウンセリングなどが用いられています。
グリーフケアのポイントは、その悲嘆(悲しみ)のプロセスに沿って継続的に支援を行うことです。悲しみのプロセスは、喪失を受け入れるためのプロセスといえるでしょう。悲しみのプロセスは、一般的に以下の4段階で構成されると考えられています。

●悲しみのプロセス

1.ショック期
事実を受け入れられず死を否認してしまう時期(ショック状態)
2.喪失期
死を徐々に受け入れるものの怒りや自責の念などが生じる時期(喪失感・怒りの状態)
3.閉じこもり期
死を受け入れられるようになったものの、そのせいで虚無感に襲われる時期
4.回復・再生期
死の事実を受け入れて、新たな自分や社会関係を構築していく時期

実際の悲嘆のプロセスは、段階的ではなく行き来したり退行したりしながら
回復・再生期へと向かいます。
また、グリーフの期間は人により大きく異なります。

社会の変化とともに
必要性が高まるグリーフケア

グリーフケアの必要性は、社会の変化とともに高まっています。その背景にあるのが、核家族化の進行と医療の進歩で身近な人の死を経験する機会が減っていることです。
死と日常生活の距離が離れたため、死別との向き合い方に悩む人が増えています。高齢化の進展ならびに高齢者世帯の増加もグリーフケアの必要性を高めています。高齢夫婦だけで構成される高齢者世帯では、配偶者が亡くなると残された側が心身ともに不安定になって、要介護状態になるケースが少なくありません。配偶者を亡くしても、その人らしく生き生きと生活を続けられるようにグリーフケアの必要性が高まっているのです。
以上の変化を受けて、グリーフケアは斎場や医療機関・介護施設などで勤務している人に欠かせない知識になりつつあります。

●グリーフケアに期待できる効果

グリーフケアは、さまざまな効果を期待できます。グリーフケアの効果は、死別を経験した人に対する効果とグリーフケアを提供する人に対する効果にわけられます。ここでいうグリーフケアを提供する人とは、斎場や医療機関などで働く人です。では、それぞれの効果を見ていきましょう。

死別を経験した人は、グリーフケアを受けることで大切な人の死による悲しみを和らげられます。また、1人で対処するよりも、悲嘆のプロセスを段階的に踏みやすくなります。したがって、死別による心身の不調などを予防しやすくなるといえるでしょう。

グリーフケアを提供する人には、自身の取り組みを振り返って学びの機会とすることができます。例えば、医療現場で働く看護師は遺族に対しどう声を掛けたらよいか迷われる方も少なくありません。葬儀と密接な湯灌納棺師であっても、遺族と向き合った際への対応に困ることもあることでしょう。グリーフケアについての知識を得ることは、遺族とのかかわり方を見直すきっかけになり、遺族の悲しみを癒すためさらに技術を磨かなければならないなどと感じることでしょう。

●グリーフケアを受けられる場所

グリーフケアは、フォーマルなグリーフケアとインフォーマルなグリーフケアにわかれます。フォーマルなグリーフケアは、心理カウンセラー、医師、看護師、宗教家、同じ経験をした人などが実施するカウンセリング、追悼会、ワークショップ型セミナーなどです。例えば、医療機関では、看護師が家族と会話の機会を設けて看取りの経験を共有するなどが実践されています。
インフォーマルなグリーフケアは、遺族が家族、知人などと故人の思い出話をすることなどです。しかし、家族間などでグリーフケアを行う場合は注意が必要です。悲しみから解放されるには時間がかかるということを理解していないと、悲しむからといって思い出の品を捨ててしまったり、思い出話をする際に故人の関わり度合などによって温度差が生じてしまったりしまいます。その場合は、再び一人で悲しみを抱えてしまう状況になることも考えられます。
専門的なグリーフケアを受けたい、または専門的な知識を学びたい場合は、ぜひワークショップ型セミナーなどに参加すると良いでしょう。ワークショップはワークシートなどを使い自分の悲しみと向き合い、自身が生きることを再確認していくプログラムなどで構成されています。講師や参加者とともに一つ一つ気持ちに折り合いをつけて心を整理していきます。

ワークショップ型セミナーを
九州SOGI専門学校で開催しております

ワークショップ型セミナーは、長崎市光町に位置する九州SOGI専門学校が開催しています。
当校のセミナーの特徴は、葬祭ディレクター1級の副校長と湯灌納棺師の特任講師が自らの経験と知識を交えて講義をおこないます。また、参加者が自身の経験と悲しみを話すことでグリーフケアを体験する時間も設けられています。対象は、死別を経験した人、葬儀関連従事者、病院看護従事者、老人ホームその他関連従事者です。悲しみを癒したい人やグリーフケアについて学びを深めたい人は、参加してみてはいかがでしょうか。

現在開催しているセミナーはございません。

●死別を経験した人にグリーフケアは必要な取り組みです

大切な人と死別すると、誰もが心身ともに不安定な状態になります。グリーフケアを受けると、悲しみが和らぐとともに悲嘆のプロセスを段階的に踏みやすくなります。死別を経験した人に、グリーフケアは必要な取り組みです。
大切な誰かを亡くした人、命の現場で働く人は、九州SOGI専門学校主催のグリーフケアに参加してみてはいかがでしょうか。

九州SOGI専門学校 
〒852-8001 長崎県長崎市光町10-18
TEL.095-865-6217
受付時間 9:00 – 17:00(土日祝日除く)